【簡単!独学イタリア語】第14回 -目的語としての人称代名詞-

イタリア語

イタリア語学習第14回、今回は目的語として使う人称代名詞について勉強していきましょう。いつもより少し長いので、時間のある時にゆっくり読んでくださいね。

目的語とは

まず、目的語とは”他動詞”に付くものです。他動詞とは、目的語が付かないと意味をなさない動詞です。一方、目的語が付かなくても意味が成り立つ動詞のことを”自動詞”と呼びます。

具体的に例を挙げると、”立つ”や”行く”などは自動詞です。その動詞だけで意味が成り立ちますね。一方”送る”や”あげる”は他動詞です。”何を”送ったのか、あげたのかという目的語がないと意味をなしません

目的語には簡単に説明すると次の2種類があります。

・直接目的語:通常”〜(人/物)を”と訳せるもの
・間接目的語:通常”〜(人)に”と訳せるもの

それでは、それぞれに付く人称代名詞について順番に見ていきましょう。

直接目的語人称代名詞 (pronomi personali complemento diretto)

直接目的語人称代名詞は先述の通り”通常”〜(人/物)を”と訳せるもの”です。一覧にすると以下のようになります。

私をmi
君をti
彼を、それ(男性名詞)をlo
彼女を、それ(女性名詞)を/あなたをla / La
私たちをci
君たちを/あなた方をvi / Vi
彼らを、それら(男性名詞)をli
彼女らを、それら(女性名詞)をle
直接目的語人称代名詞 一覧

語順に注意する必要があり、通常の文章では例えば”(Io) Conosco Paolo.”となりますが、直接目的語人称代名詞を使う場合は”(Io) Lo conosco.”と動詞の活用形の直前に置きます。※一部例外があります。

また、否定文の場合は”Non lo conosco.”とNonが直接目的語人称代名詞の直前に置かれます。

以下にいくつか例文を挙げますので参考にしてください。

①Conosci Anna? -SÌ, la conosco.
君はアンナを知っているかい? ーうん、(彼女を)知っているよ。

②Mangi il risotto? -SÌ, lo mangio.
リゾットを食べるかい? ーうん、(それを)食べるよ。

③Devo comprarle. / Le devo comprare.
私はそれらを買わなければならない。
補助動詞の後の不定詞が目的語人称代名詞を伴う場合、上の例文のように不定詞の後ろに一体化するか、補助動詞の前に付くかの2通りの表現があります。
これは目的語人称代名詞の直接/間接は問いません。どちらかといえば前者の方がよく使われます。
不定詞の後ろに一体化させる場合は、最後の-eを落としてから目的語人称代名詞を付けてくださいね。


Il gelato al pistacchio, lo mangio volentieri!
ピスタチオ味のジェラート、私は喜んでいただきます(大好きです)!
直接目的語を強調させたい場合はこのように代名詞を重複させるという表現もあります。

⑤Sai a che ora arriva il treno? -No, non lo so.
何時に電車が来るか知ってる? ーううん、(そのことは)知らないよ。
正確には人称代名詞ではなく”中性代名詞”といいますが、この場合の”lo”は前の文章を受けて、その内容について”そのこと”という意味になります。詳しくは後日代名小詞などを学習する際に解説しますね。

間接目的語人称代名詞 (pronomi personali complemento indiretto)

間接目的語人称代名詞は先述の通り”通常”〜(人)に”と訳せるもの”です。一覧にすると以下のようになります。

私にmi
君にti
彼にgli
彼女に/あなたにle / Le
私たちにci
君たちに/あなた方にvi / Vi
彼らに、彼女らにgli
間接目的語人称代名詞 一覧

直接目的語の際と同様に語順に注意する必要があり、通常の文章では例えば”(Io) Telefono a Paolo.”となりますが、間接目的語人称代名詞を使う場合は”(Io) Gli telefono.”と動詞の活用形の直前に置きます。※一部例外があります。

また、否定文の場合も”Non gli telefono.”とNonが間接目的語人称代名詞の直前に置かれます。

以下にいくつか例文を挙げますので参考にしてください。

Ti do questa borsa.
このバッグを君にあげるよ。

②Perché Paolo non ci telefona?
なぜパオロは私たちに電話をかけてこないの?

③Devo portargli questo pacco. / Gli devo portare questo pacco.
私はこの荷物を彼に持っていかなければならない。
直接目的語と同様に、補助動詞の後の不定詞が目的語人称代名詞を伴う場合は、上の例文のように不定詞の後ろに一体化するか、補助動詞の前に付くかの2通りの表現があります。
これは目的語人称代名詞の直接/間接は問いません。どちらかといえば前者の方がよく使われます。
不定詞の後ろに一体化させる場合は、最後の-eを落としてから目的語人称代名詞を付けてくださいね。


A Monica, le scrivo una lettera.
モニカには、手紙を1通送ります。
直接目的語と同様に、間接目的語を強調させたい場合はこのように代名詞を重複させるという表現もあります。

直接目的語人称代名詞と間接目的語人称代名詞の結合形

”〜に〜を”という表現をしたい場合、直接目的語人称代名詞と間接目的語人称代名詞を一緒に使うことができます。一覧は以下のようになります。

mi
(私に)
ti
(君に)
gli, le / Le
(彼(ら)に、彼女(ら)に、あなたに)
ci
(私たちに)
vi
(君たちに)
lo (それを、彼を)me lote loglielo / Glieloce love lo
la (それを、彼女を)me late lagliela / Glielace lave la
li (それらを、彼らを)me lite liglieli / Glielice live li
le (それらを、彼女らを)me lete legliele / Glielece leve le
ne (それらについて)me nete negliene / Glienece neve ne
直接目的語人称代名詞と間接目的語人称代名詞の結合形 一覧

一覧内の”ne”については代名小詞を学習する際に解説しますので、今は”こういうものがあるんだな”程度に頭の片隅に置いておいてもらえれば大丈夫です。

以下に例文をいくつか挙げますので参考にしてくださいね。

Te lo do subito.
すぐ君にそれを渡すよ。

②Io conosco bene la lingua italiana. –Ce la insegni?
私はイタリア語をよく知ってるよ。 ー私たちにそれを教えてくれる?

③Puoi darglieli? / Glieli puoi dare?
それらを彼らに渡してくれる?

人称代名詞の強勢形

目的語人称代名詞を強調させたい場合、”強勢形”というものを使います。それぞれの強勢形の一覧は以下のようになります。

直接目的語人称代名詞の強勢形

me
te
lui
彼女 / あなたlei / Lei
私たちnoi
君たちvoi
彼ら、彼女ら、それらloro
直接目的語人称代名詞の強勢形

直接目的語人称代名詞の強勢形は原則”動詞より後”に置きます

間接目的語人称代名詞の強勢形

私にa me
君にa te
彼にa lui
彼女に / あなたにa lei / Lei
私たちにa noi
君たちにa voi
彼らに、彼女らに、それらにa loro
間接目的語人称代名詞の強勢形

間接目的語人称代名詞の強勢形は前置詞”a”と併せて使います。語順については”A me puoi passare il sale?”、”Puoi passare a me il sale?”、”Puoi passare il sale a me?”といったようにある程度自由が利きます

”a”以外の前置詞と共に使うパターン

強勢形は”a”以外の前置詞と共に使うこともありますが、この場合は”強調する”という意味合いはありません。以下にいくつか例文を挙げますね。

・Andiamo da lui.
彼の所へ行こう。

・Facciamo qualcosa con loro.
彼らと一緒に何かしよう。

Per me non è importante.
私にとっては重要ではありません。

・Non posso stare senza di te.
君無しではいられない。

Secondo me lei è sposata.
私の意見では彼女は結婚している。

直接目的語と間接目的語を間違えやすいパターン

日本語では”〜を”、”〜に”と訳さないため間違えやすいパターンがあります。以下にざっと挙げていますので参考にしてくださいね。

”〜を”と訳さない直接目的語

・sposare + 直接目的語
:〜と結婚する

・incontrare + 直接目的語
:〜に会う

・salutare + 直接目的語
:〜に挨拶する

・frequentare + 直接目的語
:〜に通う、〜と付き合う

・seguire + 直接目的語
:〜に通う

・chiamare + 直接目的語
:〜を呼ぶ、〜に電話する

・pregare + 直接目的語
:〜に頼む

・ringraziare + 直接目的語
:〜に感謝する

・raggiungere + 直接目的語
:〜に追いつく、〜に達する、〜に到着する

・informare/avvertire + 直接目的語
:〜に知らせる

・vincere + 直接目的語
:〜に勝つ、〜を克服する

”〜に”と訳さない間接目的語

・piacere + 間接目的語 + (主語)
:(間接目的語)は(主語)が好きである

・interessare + 間接目的語 + (主語)
:(間接目的語)は(主語)に興味がある

・pensare + 間接目的語
:(間接目的語)のことを考える

・credere + 間接目的語
:(間接目的語)を信じる

・volere bene + 間接目的語
:(間接目的語)が好きである

最後に

いかがでしたか?色々とパターンがあって難しいかもしれませんね。ただ口語でもよく使うので、なるべく早く覚えてしまって、会話で使うことに慣れた方が良いと思います。一気に全部でなくとも、少しずつ覚えていきましょうね。

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