ちょっとマイナーな観光地をご紹介する【マイナー観光ガイド】シリーズ。第2回はヴィチェンツァ県の”Marostica (マロースティカ)”をご紹介します。
Marosticaってどこ?
先述の通り、マロースティカはヴェネト州のヴィチェンツァ県にあります。前回ご紹介したバッサーノの隣のコムーネで、人口は約14,000人、面積は約37km2です。
さくらんぼが特産で、マロースティカのさくらんぼ(Ciliegia di Marostica)はIGPという原産地名称保護制度の指定を受けています。
またこちらは後述しますが、2年に1回”人間チェス”が開かれることでも有名で、”la città degli scacchi (チェスの街)”と言われることもあります。
最大の見どころ 人間チェス
人間チェス (La Partita a Scacchi di Marostica a personaggi viventi)とは?
マロースティカで最も有名なのが”人間チェス”。それぞれの駒の衣装を着た人間が、大きなチェス盤の上で実際に駒を演じるイベントです。ナイトの駒を担当する人は実際に馬に乗ります。
人間チェスのイベントは、原則偶数年の9月第2日曜日の週末、金曜日から3日間に開催されます。
チェスの観戦にはチケットが必要で、日時によって価格が変動しますが、公式サイトなどからチケットの購入が可能です。安ければ30€程度、高い席でも100€弱で購入できますよ。
会場はマロースティカ内の”Piazza Castello (カステッロ広場)”で、ここにはチェス盤を模した市松模様のタイルが敷かれています。
公式サイト
詳細は公式サイトやFacebook、Instagramでも確認できます。動画もアップされているので、気になる方は一度チェックしてみてくださいね。
人間チェスの歴史
人間チェスの発祥は1454年まで遡ります。当時、マロースティカはヴェネツィア共和国に最も忠実な国の1つでした。
1454年、マロースティカの2人の騎士、Rinaldo D’Angarano(リナルド・ダンガラノ)とVieri da Vallonara(ヴィエリ・ダ・ヴァロナーラ)の両者が、城主Taddeo Parisio(タッデオ・パリジオ)の娘Lionora(リオノーラ)に恋に落ちてしまいます。
当時の習慣として、このような場合は決闘を行い勝者が女性との結婚の権利を得られるというものがあったそうです。
しかし、優秀な騎士であるリナルドとヴィエリの両者を失いたくない城主タッデオは決闘ではなく高貴なチェスゲームで競うことを2人に命じます。
更にタッデオはこのチェスゲームの勝者にはリオノーラとの結婚を認め、一方の敗者はリオノーラの妹であるOldrada(オルドラダ)と結婚することを認め、リナルドとヴィエリの両者を自身の親族とすると決めました。
この対局が行われたのがカステッロ広場で、音楽やダンス、花火などでとても豪華な対局になったそうです。
以上が人間チェスの発祥ですが、実はこの話は”創作”なんだそうです。※一方で史実だと主張する人もいますが、歴史的な証拠となる資料もないため有耶無耶になっているみたいですね。
喜劇作家であるMirko Vucetich(ミルコ・ヴチェティッチ)がこの作品を書き、1954年にイベントとしての人間チェスが初めて行われたとか…。
出張版人間チェス
この人間チェスですが、以下のようにマロースティカ外でも何度か”出張版”が開催されています。
・1958年:ブリュッセル万国博覧会
・1984年:ニューヨーク/フィラデルフィア、ロスオリンピック
・1986年:バンクーバー万国博覧会
・1987年:シュトゥットガルト、ローマ世界陸上選手権
・1991年:サンパウロ
・1992年:シカゴ
・1997年:トロント
・2001年:ルガーノ
・2003年:メルボルン
余談ですが、マロースティカは日本の山形県天童市と姉妹都市となっています。これはズバリ、天童市でも”人間将棋”が行われているから。
日本で人間チェスが開催されるとしたら、天童市が会場になる可能性も高そうですね。
ちなみにどちらの都市もさくらんぼが特産という共通点もあります。
その他の見どころ
観光どころはそこまで大きくないので、半日もあれば一通り見て回れるかと思います。
また、マロースティカでは、毎週日曜日は基本的に何かしらのイベントが行われています。特に人気があるのは毎月第一日曜日に開催されているアンティークマーケット。
他にも、5月の終わりにはさくらんぼ祭りが開かれたり、6月には”Caretera”という二人乗りカートでのダウンヒルレースが開催されたりしています。
Marosticaへのアクセス
公共交通機関を利用する場合は、前回のバッサーノ駅から30分ほどバスを利用する必要があります。バッサーノ駅周辺で運良くタクシーが見つかればそちらを利用するのも◎。
例のごとくバスも電車も本数が少ないので注意してくださいね。
最後に
いかがでしたか?アンティークマーケットに興味のある方は月初の日曜日に訪れてみてくださいね。