イタリアの運転免許証
イタリア車、お好きな方は多いのではないでしょうか?かくいう私も、FIAT(現在は某社の子会社ですが…)の500に憧れています。”イタリアに旅行に行ったり移住したりしたら、せっかくだしイタ車を運転してみたいなぁ”と思う方もいらっしゃるかもしれません。
日本で各車両を運転するには対応した運転免許証が必要ですが、イタリアでももちろん同じように運転には運転免許証(Patente di guida)が必要です。イタリアで運転するためにはどういう手続が必要なのでしょうか?こちらの記事では主な3つの方法をご紹介します。
①国外運転免許証
国外運転免許証とは、海外で車を運転するためのものです。ジュネーブ条約締約国内に限りますが、これを持っていればその国の運転免許証が無くても車両の運転が可能です。
有効期間は発行日から1年間で、普通の免許証のような更新制度はありません。また、日本の運転免許証が失効してしまうと国外運転免許証もその効力を失います。有効期間が短いので、旅行やビジネス等の短期滞在や、現地の免許を取得するまでのつなぎとして利用される方が多いです。
申請できるのは日本の運転免許証の有効期限内となり、免許停止中の場合や大型特殊免許、小型特殊免許、原付免許又は仮免許のみを所持している場合は申請できません。
お住まいの地域の管轄の警察署での申請となりますが、詳細については各警察署のサイト等で事前に確認をしておきましょう。また、申請に必要なものは基本的には以下の4点です。
・運転免許証
・写真1枚
・パスポート原本
・(お持ちの場合は)古い国外運転免許証
また運転できる車両区分が日本のものと若干異なる場合があります。国外運転免許証ではA〜Eまでのランク付けがされており、スタンプの押してあるランクに対応する車両のみ運転が可能です。
②運転免許証の書き換え
実は、日本の運転免許証をイタリアのものに書き換えることが可能です。基本的には1年以上現地に滞在(住民登録)する場合に書き換える方が多く、私も書き換えたケースです。
ただしイタリアでの住民登録が既に4年以上経過してしまった方の場合、日本の運転免許証からイタリアのものへの書き換え手続きが出来ない規定となっているそうなので、この場合は現地の運転免許証を取得する必要があります。
申請場所/必要書類
書換えの申請は”各県陸運事務所(Motorizzazione Civile)”や”アウトモービレ・クラブ(Automobile Club/ACI)”、現地の自動車学校(Autoscuola)等で行います。私は最寄りがACIだったのでそこで申請をしました。
必要な書類は基本的には以下のものとなりますが、地域等によって若干異なるので各申請先に必ず事前にご確認ください。
・申請書 1部
・現在所持している運転免許証が日本で発行されたものであることを申告する書式 1部
・写真 3枚 (身分証明書用サイズ/カラーかつ鮮明なもの)
・日本の運転免許証
・日本の運転免許証の翻訳証明*
・住民登録証もしくは滞在許可証(Permesso di soggiorno)
・医師の診断書*
・市役所発行の身分証明書(Carta d’identità)
※ 翻訳証明については大使館もしくは総領事館発行のものが必要です。基本的にはパスポートと運転免許証、手数料で事足りますが、念のため事前に確認の上、申請しに行きましょう。また、発行後は各県庁(prefettura)で証明書の認証(Legalizzazione)の手続きも必要です。こちらは収入印紙(Marca da Bollo)と翻訳証明が必要となりますが、地域等によって異なる場合もありますので事前に問い合わせておくのが安心です。
※医師の診断書につきましては、イタリア運輸省により発行できる医療機関が指定されています(地域保険公社など)。ただし、ACIや自動車学校では指定の医師を抱えているところが多いので、申請時に診断の予約をしてくれる所もあります。
必要な書類が揃ったら、申請先にて申請をしましょう。この際に手数料も支払います。
申請が完了すると、イタリア運転免許証交付までの間”イタリア運転免許証の役割を果たす書類”が発行されます。日本運転免許証の扱いは申請場所によって異なり、申請時に提出を求められる場合と提示だけでOKな場合があるようです。
書き換え免許証の受け取り
申請先によって異なりますが、受付後だいたい1~2ヶ月でイタリアの運転免許証への書き換えが完了します。発行が完了し受け取れる状態になったら、基本的には申請した所から連絡が来るようです。
また、イタリアの運転免許証と引き換えに日本の免許証は没収されます。以降、一時帰国時に日本で運転したい場合は国外運転免許証を取得する、日本に完全に帰国する場合は再度日本の免許証に書き換えるというような流れになります。
”どちらの免許証も持ちたい。有効期限残ってたし日本で再交付してもらおうかな”と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、現在EU諸国が発行する運転免許証と、EU諸国以外の第三国の運転免許証を二重に所持することについては、EU指令により禁止されています。
二重所持していて罰則を受けたというような話は私は聞いたことはありませんが、EU圏内に長期滞在/永住されるといったような方は念のため日本の免許証は諦めた方が良いかと思います。
また、イタリアで取得した免許証であれば通常EU加盟国でも運転できるのですが、書き換えた免許証についてはイタリア国内でのみ有効だそうです。お仕事等でイタリア国外でも運転したい場合はイタリア現地で運転免許証を取得したほうが良いかもしれません。
③現地で運転免許証を取得する
最後に紹介するのは現地で運転免許証を取得する方法です。日本と同じように自動車教習所(Auto scuola)に通った後に学科試験と運転実技試験を受けて取得する方がほとんどですが、資格のあるインストラクターによる最低 6 時間実技練習を受けた証明があれば、教習所に通わなくても試験を受けられるようです。とはいえ90%以上の人は教習所に通ってから試験を受けるそうなので、ここでは教習所をベースに紹介していきます。
教習所に通い始める前に…
教習所に通う前に、可能であれば家族や友人に車の運転をある程度教えてもらっておいた方が良いです。というのも、基本的に教習所のパック料金には路上教習が6時間程度しか含まれておらず、日本のように教習所内での実車練習も無いからです。追加料金で路上教習も増やせるところが多いですが、1時間につき30ユーロ前後かかりますし、何より学科/運転実技試験については1回分しかパック料金に含まれていないことがほとんどなので、落ちてしまうと再試験料がかかります。
教習所への申し込み
まずはインターネット等で通いやすい自動車教習所を探してみましょう。サイトが更新されていないこともよくあるので、ある程度目星をつけたら直接電話で料金や気になる点等を問い合わせてみるのが良いかと思います。通う教習所を決めたら申し込みをしますが、必要な書類は基本的に以下のものとなります。
・身分証明書(Carta di identità)
・税コード(Codice fiscale)
・証明写真
・ホームドクターからの病歴証明書(Certificato anamnestico)
・(EU市民以外の場合)滞在証(Carta di soggiorno)もしくは滞在許可証(Permesso di soggiorno)
教習所によって若干異なるかもしれないので、事前に必ず確認しておくことを推奨します。
申込みが済んだら後は日本と同じようにひたすら教習所で運転の練習と試験対策をし、試験に受かるだけです。
参考サイト
・イタリア運輸省HP:”Conversione patente non comunitaria”の欄をご参照ください。 ※イタリア語
最後に
以上、イタリアで運転するための運転免許証についてのご紹介でした。走行車線や車の仕様が日本と左右逆なので、日本で運転し慣れた方ほど初めは戸惑うかと思います。
私も日本でよく運転していた弊害か、交差点などで”あれ、どっちの車線に入るんだっけ…”と未だにパッと判断できないことが極稀にあったりなかったり。なので運転するのは凄く怖いですし、かなり神経を使うので非常に疲れます…。とはいえ練習あるのみですので、安全運転を心がけつつこれからも頑張ろうと思います!