【法改正】イタリアで子供の姓はどうなっているのか【夫婦別姓】

イタリア文化

日本でも昨今議論に上がっている結婚後の夫婦の”姓”。イタリアは現在基本的に夫婦別姓の国です。

そのため、私もイタリア人の夫と結婚した際は各書類の手続きが面倒だった(特にパスポート周りで総領事館に行くのが大変だった)こともあり、苗字は変えずに現在に至ります。

で、夫婦別姓でよく問題視されるのが結婚後に生まれた”子供の姓”。実はイタリアでは割と最近子供の姓について法改正があったので、今回少し紹介したいと思います。

イタリアでの姓の扱い

イタリアでは2022年に法改正が行われ、子供に両親の姓どちらも付けることができるようになりました。たまたま我が家の子供は法改正後に生まれたので、ありがたく日本とイタリアどちらの姓も付けています。

元々イタリアでもかつては日本のように夫婦同姓で家制度が強く、妻はもちろん子供も夫側の姓を名乗ることが定められていました。が、第二次世界大戦後に男女平等や女性の権利等についての議論がなされ、妻については一旦は”妻は自分の姓の後ろに夫の姓を加える”という形になり、現在は夫の姓を加えるかは任意となっています。
ちなみに、仮に夫の姓を加える場合は”名前 自分の姓 + in 夫の姓”という形になるそうですよ。

この法改正によって妻サイドは姓の選択の自由が与えられたのですが、実は子供の姓については改正されておらず、昔と変わらず原則として父親側の姓を付けなければならなかったのです。

子供の姓に関する法改正

ところがここ10年ほどで転機が訪れます。欧州人権裁判所が「嫡出子に自動的に父の姓を与えるのは人権侵害」であるとの判断をしたのに加え、イタリアの憲法裁判所でも「違法」との判決を出したのです。

この辺りからイタリア国内では子供の姓に関する法改正についての議論がかなり活発化。遂に2022年に法改正が行われ、結果として「子供には父母のどちらの姓も付けることができる」という形になりました。

現在イタリアで子供に付けられる姓は正確には4種類で、まとめると以下のようになっています。

・父親の姓のみ
・母親の姓のみ
・両方の姓で”父親””母親”の順
・両方の姓で”母親””父親”の順

改正後の子供の姓事情

そもそも子供の姓の選択は”子供の父親と母親の合意”の上で決めると定められているはずなのですが、その他の親族が伝統だの文化だので色々と口出しする家庭も多いらしいです。特に筆者の親世代以上のイタリア人は保守的な人間も多いので、まだまだ父親の姓のみの選ばざるを得ないケースも多いのが現状なんだとか。

複合姓の一番のメリットとしては、両方の姓が入っているので親子関係の証明が楽なことかと思います。デメリットは姓が2つあるため苗字が長くなることですね。フルネームを書かなければならない機会では少々面倒かもしれません。更にその次の世代となると両親の姓が4つあることになるので、どの姓を選ぶのかということも問題となってくることも。

また、我が家のように子供が日伊ハーフの場合はデメリットがもう1つあって、イタリアと日本とで苗字が異なってしまうんです。出生届出時に国籍留保をしていれば子供はパスポートを2ヶ国分持つことになるのですが、同じ人物なのに苗字が違うとちょこちょこトラブルになることがあるとかないとか…。

現状日本の戸籍制度では、出生時点では私の子供は私筆頭の戸籍に入ることになるため、どうしても私の苗字のみになってしまうんです…。

複合姓に変更するには家庭裁判所での手続きと許可が必要となります。許可が下りれば子供の単独戸籍を作った上で複合姓への変更ができますが、海外に住んでいてこの手続きをするのは結構面倒なんですよね…。出生届を出す段階で、外国側の証明書があれば日本でも最初から複合姓で届け出できたら楽なのになぁと思っています。

いつか日本も通るかもしれない道

日本でも選択的夫婦別姓の議論が加熱していますが、子供の姓の問題も必ず付随するかと思います。現状の戸籍制度だと解決は難しいかもしれませんが、イタリアのように国民全員を単独戸籍にしてしまえば案外簡単かもしれないなぁと思ったり思わなかったり。そうなるとシステム改修等でまた色々問題が出てくるのだろうとは思いますが…。

イタリアもここまで来るのにかなり時間がかかりましたが、日本でもなるべく早く国民皆が納得できる形で解決できるよう、遠い地から祈っています。

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