皆さんは、匿名で施設などに寄付やランドセルを贈る、“タイガーマスク運動”のことを覚えていますか?ちなみにこの運動のきっかけとなった男性は、今でも形を変えて子供たちへの支援を続けているらしいです。
イタリアでも似たような活動をされている方々がいらっしゃるので、今回はそれについて少し紹介しようと思います。
イタリアの子どもたちのヒーロー”スパイダーマン”
近年、イタリアでは”スパイダーマン”がとある子供たちへの支援をするということが増えています。何故スパイダーマンなのでしょうか?タイガーマスクのように漫画の内容とリンクしている訳ではないようですが…。
実はこれ、”Tú Sí Que Vales”というイタリアのタレントオーディション番組での出来事の影響が大きいんです。
数年前にこの番組でイタリア人男性がスパイダーマンの衣装を着て登場し、最終的に番組内の賞を受賞しました。
Tú Sí Que Vales
受賞の決定打となったのは、
「「ちゃんと手首から蜘蛛の糸も飛び出て、コスプレがクオリティめちゃくちゃ高かったから!」」
……ではなく、
「「「ガチでスパイダーマン並みの身体能力があったから!!」」」
……でもなく、この男性がスパイダーマンのコスプレをするようになった”理由”でした。
来ることのなかったヒーロー
この男性、Mattia Villardita(マッティア・ヴィッラルディータ)さんは先天性の病気のため、19歳になるまで長い間入院生活を続けていました。
病院に籠る生活が続く中、ふと窓の外を見たマッティア少年は、”自分の大好きなスーパーヒーローである”スパイダーマン”が、挨拶にだけでもいいからひょっこり窓から来てくれないかなぁ…”と夢見ます。
しかし、スパイダーマンは所詮マンガの中のキャラクター。実際にスパイダーマンが彼の元へ来てくれることは、結局一度もありませんでした。
闘う子供たちのため、自らがヒーローに
その後大人になった彼は、”病気と闘う子供たちのために、自分が”ヒーロー”にならない理由があるのか?”と思い立ち、自らスーパーヒーロー”スパイダーマン”に扮して病院を訪問し、闘病中の子どもたちを元気づけるためのパフォーマンス活動を始めることを決意したのでした。
ちなみに番組放送当時は既に4年ほど活動を続けていたそうです。
Tú Sí Que Vales
で、こういう系の話にめっっっちゃくちゃ弱いイタリア人たちの心に、このエピソードはかなり刺さったらしいです。この全国放送の番組がきっかけとなり、各地で闘病する子供たちのヒーロー”スパイダーマン”として活動する人が現れ始めました。
直近では今年のイースターに関連して、ミラノのとある小児科クリニックに入院している子供たちに、スパイダーマンたちがイースターエッグを届けに来たというエピソードが全国ニュースになっていましたね。
TGCOM24
ローマ教皇とも謁見
ちなみに先述のマッティアさんは、番組の数ヶ月前にローマ教皇とも謁見しています。その際にはスパイダーマンのマスクも贈ったとかなんとか…。
ローマ教皇と握手するマッティアさん。ローマ教皇の左手にはスパイダーマンのマスクが。
VATICANNEWS
当時のインタビューでは”(自分は子供たちのスーパーヒーローとして活動しているが)真のスーパーヒーローとは闘病している子供たちと、大きな希望を持ちながら子供たちと共に闘っているその家族である”といった内容のことを語っていました。
いや、貴方も十分に真のスーパーヒーローです…!と言いたくなりますね。
広がる支援の輪
自らの体験が元となったイタリアの”スパイダーマン”。そして彼に続くたくさんのスパイダーマンたち。
これに勇気付けられた子供たちが、大人になって同じように自分の体験を元に支援をして…と支援の輪が続いてほしいものですね。