海外在住の日本人の方のブログ等を見ていると、”一時帰国中は国民健康保険に加入する”といったような記事を書かれていることがしばしばあります。果たして一時帰国中の国保加入は問題ないのでしょうか?
国民健康保険加入の条件
元役所勤務の私の意見ですが、一時帰国中の国保への加入は原則NGです。
国保に加入するには国外(海外)転入の手続きをして日本に住民票を置く必要がありますが、そもそも住民票を置ける条件が”1年以上日本に滞在する場合”というものとなっています。自治体によってはもう少し短くても問題ないところもあるようですが、原則は1年です。
また、”住民票を置く”というのは”日本に生活の拠点がある”ということを意味するので、海外に生活拠点のある一時帰国の場合は当てはまりません。
自治体によっては国外(海外)転入手続きの際、かなり厳しく居住期間等の聞き取りをするところもあります。これをうまく誤魔化して転入手続きしたとしても、海外への帰国時には国外(海外)転出の手続きが必要となります。
転入から1年未満で国外(海外)転出手続きをする場合は理由等の聞き取りが行われるのに加え、国保資格を転入時まで遡って取り消されます。
この場合納付した保険料については返金されますが、資格を取り消された期間の国民健康保険で負担した医療費等は全額返金する必要があります。
在住国の医療制度等に問題があり日本で治療を受けたかったり、諸事情で在住国ではなく日本で出産する必要があったりという方もいらっしゃるかもしれませんが、先述の通り国民健康保険は海外に生活拠点のある方は原則加入できません。
”どうしても一時帰国中に国民健康保険に加入しなければならない特段の事情がある”という場合は、国外(海外)転入する予定の自治体に加入可否も含め予め相談しておきましょう。もし断られてしまっても諦めるしかありません。
一時帰国中の保険はどうするのか?
では一時帰国中の保険はどうすればいいのかですが、答えは単純で”在住国の海外旅行保険に加入する”のがベストです。”一時帰国”とは言いますが、言い換えれば在住国から日本に旅行に行くのと同義ですからね。
日本から海外に旅行する際は日本で海外旅行保険に加入される方がほとんどだと思いますが、それと同様に在住国で民間の海外旅行保険に加入してから日本に行けば良いのです。滞在期間や人数によって保険料は変わってきますが、フライト料金や日本での滞在費に比べればそこまで高額ではないはずです。
また海外旅行保険の場合、旅行中のトラブル全般もカバーしてもらえるものが多いのもメリットです。私が最近利用した海外旅行保険では以下のような補償がありました。
・オペレーションセンターは24時間365日対応
・フライト遅延/キャンセル等の補償
・旅行のキャンセル/中断等の補償
・荷物の盗難や火災、紛失または配達遅延の補償
・医療費の直接の支払い
滞在期間は3週間ほど、人数は0歳児と私の2人でしたが、保険料は1万円しないくらいでしたね。国民健康保険ですとカバーされるのは医療費だけですが、海外旅行保険のフライト周りの補償は魅力的かと思います。特にコロナ禍が明けてからは空港の人手不足等でロストバゲージが多発していますので、荷物関連の補償はかなりありがたいですね。
なお、駐在で海外に滞在されている方はおそらく会社の保険があるかと思いますので、一時帰国中の保険については会社に一度問い合わせていただくのが良いかと思います。
最後に
そもそも国民健康保険は日本に生活の拠点がある方のための制度です。私が役所に勤務していた際も一時帰国中の国保加入を狙って手続きしに来られる方が偶にいらっしゃいましたが、周りからかなり白い目で見られていましたね…。
もちろん、海外から引き上げて日本に生活拠点を移すという場合は加入しても何の問題もありません。間違っても一時帰国中には利用しないように注意して、日本での滞在を楽しんでくださいね。