【戸建派?アパート派?それとも…】イタリアの住宅事情【持ち家?賃貸?】

イタリア生活

皆さんは戸建て派ですか?それとも集合住宅派ですか?どちらもメリット・デメリットがあるので難しいですよね。私はどちらかというと戸建て派ですが、防音等しっかりしているところならマンションもアリだなぁ…という感じです。イタリアの住宅にはどんな物があるのでしょうか?

イタリアの住宅の種類

Appartamento (アッパルタメント)

まず、イタリアの都市部では圧倒的に”Appartamento (アッパルタメント)”と呼ばれる集合住宅が多く、大半が賃貸です。”アパート”というと木造や軽量鉄骨等の2階建てくらいの建物の1室を借りて…といったイメージがありますが、イタリアのAppartamentoはレンガや石材製で高いところですと5階建て以上のものもあり、日本でいうところのマンションに近い扱いになるかと思います。

古いと築300年以上の建物も珍しくありませんが、中は改装されているところが多いため不便さはありません。また、イタリアの賃貸アパートは家具付きのところが多く、身一つで入居してもさほど困らないのも魅力です。

現在イタリア国内で有名なアッパルタメントといえば、おそらくミラノの”Bosco verticale (ボスコ ヴェルティカーレ)”かと思います。2棟に合計約800本の木や植物が植えられており、まさに”垂直の木”ですね。

Casa singola (カーザ シンゴラ)

日本でいうところの”一軒家”にあたり、都市郊外や田舎の方に多いですね。特に田舎の方は車社会なので、駐車スペースを取るためか庭が広めのところが目立ちます。建物自体は2階建てのものが大半ですが、田舎の方で土地が広めの地域は平屋が目立つところも。少し古い家ですと、2階建て+地下に駐車スペースを設けているお家もあります。

外構に関しては、庭は芝生を敷くところが多いですね。稀に全体をコンクリート等で固めているところもあります。また、以前は家の周りは生け垣で囲むところが多かったのですが、やはり手入れも大変なのか最近は鉄柵やコンクリート塀を採用している戸建ても多いです。

Casa abbinata (カーザ アッビナータ)

Casa abbinataとは、写真のように一軒家同士がくっついている形状の住居です。カップル・夫婦が家を建てる際、将来のために予め子供の分も一緒に建ててしまうケースでよく見られるタイプです。

壁の一面を共有していることを除けばほぼ一軒家と変わりませんが、断熱材や防音対策をしっかりしないと隣の音がかなり響くのが難点です。我が家もこのタイプの家ですが、隣は現状空き家なので音に関しては問題ないですね…。最近は部屋の壁でなく駐車スペース同士をくっつけるようにして騒音対策をしているところもあるようです。
また、家族/親戚が隣同士で住む場合は、外構はそれぞれで区切らずに共有しているところも多いです。

Casa schiera (カーザ スキエラ)

テラスハウスやタウンハウスと呼ばれるタイプの住居で、共有壁が一面のみとなる両端の物件が人気です。比較的安めかつ一軒家感覚で住めるので、特に賃貸の場合外国人ファミリーや若いカップルが住んでいることが多いです。

このタイプの住居は集合住宅扱いになることが多いので、管理費や共益費などがかかってくることがあります。この金額は場所ごとに異なるので、一見安いように見えても、管理費等がかなり高額というケースも珍しくありません。

ちなみに夫の実家もこのタイプですが、防音対策が疎かになっているのか、お隣の家の会話がよく聞こえます…。

Casa grezzo (カーザ グレッゾ)

こちらはイタリアでちらほら見かける、コンクリート打ちっ放しの作りかけの家の総称です。住む予定だったものの何らかの事情で住まなくなった、将来子供等のため自分たちの持っている土地に基礎だけ立てておく、というケースが多いようです。

売りに出されている物件も多いですが、たちが悪いことに不動産サイトに完成させるまでの料金が記載されないことが多々あり、最終的な金額が表示価格からかなり跳ね上がることが多いのが難点です。また建築中に資材の価格が高騰したりするとあっという間に予算オーバーすることも。

基礎ができてしまっているので窓やドアの配置が変えられないため間取りに制限がかかってしまうのと、完成までに時間を要することも多いので、既に完成済みの住宅を買う人が多いのが現状です。

イタリア住宅の内装

イタリアの住宅のタイプは日本のものとかなり異なっていますが、内装はどうなのでしょうか?以下に簡単に紹介していきます。

イタリア住宅の内装で日本と大きく違うのはまず床です。イタリアは基本的に土足文化なので、床もタイル張りになっているところが多いです。
ただ、2階以上の階のある住居の場合は、2階より上の階は土足禁止でフローリング床になっているところもあります。

我が家の場合は私の意向で地下とトイレ/浴室以外はフローリング張りで完全土足禁止にしています。最近はヨーロッパの方でも日本式の方が衛生的に良いと土足禁止とする人も増えているそうです。土足禁止の方が衛生的なのはもちろんですが、掃除も断然楽ですよね。

暖房設備

イタリアの住宅では、暖房設備は暖炉やセントラルヒーティングを採用しているところが多いです。古いところほど暖炉率が高い印象ですね。

セントラルヒーティングというとぱっと思い浮かばない方も多いかと思いますが、家の一箇所にボイラーなどの熱源装置を設置して、そこから暖房が必要な各部屋等へ熱を送る暖房システムです。欧米では一般的ですが、日本では北海道の住宅等で採用していることがあるみたいですね。

大抵はリビングや寝室等にラジエーターを設置しているケースが多いですが、最近建った住宅の場合は床暖房式にしているところもあります。我が家もラジエーターではなく床暖房式です。
ラジエーターがない分スペースも取りませんし掃除も楽ですが、万が一温水を運ぶ配管が故障した際に床下のコンクリートを掘る必要があるのが最大のデメリットです…。

日本では冷暖房といえばエアコンが定番ですが、イタリアではエアコンはどちらかというと夏の冷房によく使用され、冬場に暖房として使う機会は少ないです。そのため冷房専用エアコンもよく売れています。
ただ最近は世界情勢の関係もありガス代が高くなっているため、電気を使用するエアコンを導入するお家も若干増えているそうです。

LDK

イタリアの住宅はLDK一体のパターン、もしくはLとDKで分かれているパターンが大半かと思います。あくまでも私の周りですが、古めの家はLとDKで分かれているところが多く、新しめの家はLDK一体型になっているところが多い印象です。

浴室/トイレ

皆さんはアパート等で浴室とトイレは一緒でもOK派ですか?別がいい派ですか?私はできれば別がいい派ですが、残念ながらイタリアは例に漏れず浴室とトイレ、洗面所、場合によってはランドリーが一緒になっているのがスタンダードです。

イタリアの浴室はシャワーが基本ですが、お家によっては浴槽を置いているところもあります。そういったお家はたいてい普通のトイレと広めのトイレがあって、狭い方はトイレとシャワー、広い方はトイレと浴槽といったレイアウトになっているところが多いですね。

我が家の場合は夫がトイレに長時間篭ることが多く、それをやられると他の家族がいつまで経ってもシャワーを浴びられず、私も洗濯機/乾燥機を弄られずになってしまうので、今住んでいる家を建てる際は私自身で図面を引いて(もちろん専門家に最終チェックはしてもらいました)、トイレを2つ設置し、1階のトイレだけはシャワー/ランドリーと別部屋にしました。本当は洗面所も別にしたかったのですが、イタリアの建築法上諦めました…。2階はスペースが取れず浴槽とトイレが一緒の部屋になっています。

イタリアの住宅の窓には基本的に網戸が付いていません。そのため夏場に換気等で窓を開けると一瞬で部屋が蚊まみれになることも。最近の住宅は建築時に予め付けるところが多いようですが、そうではないところは蚊に悩まされる方が多いため、DIY系のお店でも後付けできる網戸がよく売られています。

また、サイズの大きい窓が多いのも特徴で、”portafinestra”と呼ばれる掃き出し窓に似たタイプのものが大半を占める住宅もあります。このportafinestraは日本のような引き戸タイプもありますが、ハンドルが付いていて片開きドアのようになっているものが多いです。
勝手口のように使っている方も多いですが、外からは閉められないので”ドア”ではなくあくまでも”窓”ですね…。

また窓枠は木製、アルミニウム、PVCなどがあり、ガラスもペアガラスが標準となっているところが多いです。トリプルガラスを取り扱っているところも多く、特に寒い地域の場合はトリプルガラスをおすすめされるみたいです。

雨戸もいくつか種類があり、観音開きになるタイプや窓の上にロール状等に設置して紐で下ろすタイプ、室外用遮光カーテンなどが使用されることが多いです。遮光カーテンは窓が標準よりかなり大きく、通常の雨戸が設置できない場合に用いられる傾向があるようですね。
雨戸も窓枠同様材質はいくつか種類がありますが、木製は手入れが大変なのもあり最近はPVCを選ぶ方が多いです。

玄関ドア

玄関ドアに関しては日本のようなツーロックになっているものはかなり少ないです。また、少し古めの家の場合は室内側にサムターンが付いていないことが多く、内側から鍵の開け閉めをする際も鍵本体を差し込む必要があり少々面倒くさいです。

また新しめのドアの場合、一度ドアを閉めると鍵をかけていなくても外側から開かなくなるタイプのものもあります。ドアの故障ではなく、そういう仕様です。そのためゴミ捨て等で少し外に…といった時に鍵を持っていくのを忘れて締め出されてしまったというような事案も度々発生しているようです。
我が家の玄関もこのタイプなので、家から出るときは鍵を持っているかどうか3回くらい確認します(汗)

持ち家か賃貸か

日本でもよく議論されている”持ち家”か”賃貸”か問題。イタリアでは持ち家派の方が多いです。

というのも、”賃貸で家賃を払うより、同額程度で持ち家の住宅ローンを支払った方が結果的に資産になるから”という考えの人が多いからです。

場所にもよりますが、イタリアの賃料はそんなに安くありません。私の住んでいる辺りは割と田舎の方ですが、単身者向けのアパートでも月々400-500€程します。大きな駅のある隣の市ですと単身者向けアパートで600-700€、ファミリー向け物件だと1000€を超えることも珍しくありません。

更に、先述の通り集合住宅の場合は別途管理費等もかかってきます。

一方の持ち家の場合は、住宅ローンの借入金額や何年ローンか、また家の価格/大きさ等で大きく変わりますが、私の住んでいる辺りでは総床面積180平米程度の庭付き住宅で住宅ローンは月々500€程度です。頭金が払えるのであれば持ち家の方が毎月の支払いは安上がりになることも多いですね。

ちなみに、イタリアでは日本と違い、住宅の築年数の経過による賃料や資産価値の変化はほぼありません。そのため支払金額を抑えたい場合は郊外の方で探すというように土地自体を見直す必要があります。ただ、田舎の方ほど車が必須になってくるので、ガソリン代や維持費等もしっかり考慮する必要がありますね。

最後に

いかがでしたか?日本と色々違う点がありますね。イタリアの住宅が気になる方は、イタリアの不動産系サイト等を是非一度覗いてみてください。”Immobiliare.it”や”idealista”、”Casa.it”辺りが有名です。様々なお家が見られるので面白いですよ♪イタリア風のお家を建てたいな〜というような方もイメージ参考になるかもしれませんね。

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